松原市観光協会・松村副会長インタビュー
この度、松原や南河内地域で活動する方を取材する、「人」にフォーカスした特設ページを公開しました。
今回は松原市観光協会・副会長であり、阪南大学教授の松村先生のインタビュー内容をお届けします。
「地域の魅力を世界に」
ー本日はインタビューのお時間をありがとうございます。松村先生といえば現場密着で様々なプロジェクトを立ち上げされていますが、現在、どのような地域連携に関わっていらっしゃいますか?
基本的には大阪ミナミ、特に通天閣近くの新今宮エリアを中心に活動しています。2004年からは、あいりん地区のゲストハウスに外国人宿泊客を呼び込むプロジェクトを推進してきました。2009年から2019年までは、阪南大学の学生ボランティアが運営する観光案内所を開設し、新今宮エリアの国際観光振興をサポートしてきました。
また、大阪ミナミでは「大阪エンターテイメントシティ構想」を進めており、外国人観光客が夜でも楽しめるようなエンターテイメントの振興も行っています。その一環として、まちをアートで彩る西成Wall Art Nipponというアート活動を、西成区で毎年実施しています。
ーミナミや新今宮エリアで活動されているのですね!松村先生のゼミの学生さんたちはボランティアで活動されているとのことですが、そのモチベーションは何なのでしょうか?
学生たちには「プロになったら報酬を得るべき」と話していますが、現時点ではボランティアとして地域のために役立ち、喜んでもらうことでスキルを磨くことが大事だと思っています。例えば、西成ジャズの大きなイベントは、ゼミの学生がボランティアでいつも協力します。バイトならバイト代をもらってすぐ解散ですが、ボランティアで支えていたら、お客さんからも出演するミュージシャンからも「ありがとう」と感謝され、自分たちの存在が地域を支えていると実感できます。学生にはそうした体験が必要で、そうした活動から小さな成功体験を積み重ねれば、学生も育ちますし、地域のためにもなります。
ーありがとうございます。松原市との地域連携にはどのようなものがありますか?
私は、西成区や浪速区、阿倍野区、生野区、大正区などで地域連携を行ってきましたが、松原市との連携はこれまであまり機会がありませんでした。ただ、松原には強い愛着があります。昭和40年代、幼稚園から小学2年生まで、私は松原に住んでいました。大和川近くの田んぼで昆虫を採ったり、ため池で遊んだりした記憶が今でも残っています。
その溜池があった場所が、今の阪南大学南キャンパスの敷地です。まさか将来そこで働くことになるとは思ってもみませんでしたね。
大学では、観光まちづくりを教えて、コミュニティツーリズムの研究もしています。コミュニティツーリズムは、地域の人々が自分たちのありのままの生活を観光客に見せるという取り組みです。例えば、稲刈りのような体験は、水田のない国の人々にとって非常に貴重な経験です。
松原市でも観光の方向性として、コミュニティツーリズムの推進が重要だと考えています。外国人観光客が大阪を訪れる際、大阪ミナミとか阿倍野で泊まることが多いのですが、もし1日空いた時間ができれば、松原にもきっと来てくれます。稲刈りや寿司づくり体験のような、ありふれた日常を楽しめる魅力を提供できればと考えています。
ー観光協会では移住定住の促進も目標としていますが、コミュニティツーリズムとの関連性はありますか?
移住定住は、雇用とセットで進めていく必要があります。コミュニティツーリズムは、柔軟な働き方を提供できる小さな雇用を生み出す可能性があります。例えば、子育て世代の方々が育児の合間に少しだけ働きたいという場合、フルタイムの仕事は難しいかもしれませんが、スポットで地域の仕事に関わることは可能です。こうした柔軟な働き方を提供できるのが、コミュニティツーリズムの魅力です。
ー移住定住とコミュニティツーリズムは密接に関わっているのですね!最後に、松原市の観光や今後の目標についてメッセージをお願いします。
大阪には世界中から多くの観光客が訪れています。松原市は「観光資源がない」とよく言われますが、実際には海外の人々にとって興味を引くさまざまな魅力が潜んでいると思います。日本人にとって当たり前の「ありふれた日常」と、「ささやかな非日常」こそ、旅慣れた外国人観光客が観たいものです。その魅力をどう磨き出すかが、観光協会の役割です。地域から良質なコンテンツを生み出し、発信していくことが大切だと考えています。これからも松原市の魅力を世界に広めていきましょう!
編集長のあとがき
阪南大学の教授として、観光協会の副会長として、さらには地域密着で観光スポットの仕掛け人として。現場主義で次々とプロジェクトを立ち上げられている姿にいつもエネルギーをいただいています。観光協会としても、松原でコミュニティツーリズムを具体化できるよう尽力してまいります!
Writer
松原市観光協会・編集長 真本