「書に、想いをのせて」——阪南大学高等学校書道部インタビュー

この度、松原や南河内地域で活動する方を取材する、「人」にフォーカスした特設ページを公開しました。
今回は阪南大学高等学校書道部のインタビュー内容をお届けします。

(写真左より)部長の佐々さん、副部長の山口さん
ランタンの光に映る、友情のかたち
ランタンの灯りと、大きな筆から広がる書の軌跡——。阪南大学高等学校書道部は、今年のランタンフェスティバルで“友情への応援”をテーマにした書道パフォーマンスを披露した。
「緊張しました。でも、友達や家族が来てくれて、すごく嬉しかったです」
部長の佐々さんがそう語れば、副部長の山口さんも「大きなイベントでステージに立つのは初めてだったけれど、楽しもうって思って臨みました」と笑顔で振り返る。
今回の演目は、春の大会で披露した作品をアレンジしたもの。メンバーは歌詞や詩、心に響く言葉を集めて構成を考え、時間をかけて磨き上げていった。

書道パフォーマンスは、夢だった
山口さんが書道部に入ったきっかけは、「パフォーマンスがしたくて高校を選んだ」ほどの強い思いがあったからだという。小学生の頃から書道に親しみ、テレビで見た書道パフォーマンスに衝撃を受けた。「自分もこんなふうに表現したい」と思った夢が、今、現実になっている。
一方、佐々さんは「小学校3年から書道を始めた」と話す。「もともと字を書くのが好きで、両親からの勧めもありました」その好きが、高校でもぶれることなく続いている。
書道部には初心者も多い。春の大会では先輩のサポートに回りながら、舞台裏で動きや準備を学ぶことから始まるという。
「まずは楽しもうっていう気持ちを大切にしています。楽しんでこそ、自分らしさが出せるんです」
一文字に込める、仲間との呼吸
練習では、歴代の先輩たちの動画を何度も見返す。動きやフリを研究し、全体の構成をメンバーで話し合う。パフォーマンスは1人では成り立たない。だからこそ、呼吸を合わせ、気持ちを重ねて、1枚の紙に全員の思いを込める。
「でも、作品制作になると一転、孤独との戦いになります」
外部の書道展にも出品する彼女たちは、静寂の中で書道と向き合い、自分の内面と対話する時間も大切にしている。
「パフォーマンスは楽しい。でも、1人で作品を書く難しさも、書道の奥深さです」
悔しさも、誇りも、すべてが書に残る
佐々さんが忘れられない思い出は、昨年のイオングランプリ。
「3年生だけで案を出して臨んだ大会だったけど、負けてしまって悔し泣きしました。でも、それも今の糧になっています」
山口さんは1年生の夏に初めてパフォーマンスに出場。
「ずっと憧れていた夢が叶った瞬間でした。でも最初は、先輩たちが作ってくれたものをこなすだけで精一杯。2年目になって、ようやく自分の表現ができるようになってきた実感があります」
次の舞台は、もっと大きく
書道部の次なる目標は、11月に開催されるイオンの書道パフォーマンスでの近畿大会優勝。
「文化祭がラストステージになるので、そこで最高のパフォーマンスをしたい」
それぞれの目標を胸に、日々の練習に打ち込んでいる。
山口さんは、「書道部に入ったら後悔させません。私も夢を叶えることができました」と力強く語る。
佐々さんも、「仲が良くて、気軽に入れる部活。どんな人でも、自分の居場所が見つかると思います」と微笑む。
書の先に描く未来
書道というと、静かで個人の世界と思われがちだ。けれど、彼女たちの書道は、仲間とともに言葉を選び、動きを合わせ、ステージという場で感情を届けるダイナミックな表現手段でもある。
言葉を届ける。紙の上に描く文字は、彼女たちの声であり、願いであり、青春そのものだ。
「誰かの心に残る一文字を書きたい」
そのまっすぐな思いが、今日も書に宿っている。

Writer
松原市観光協会・編集長 真本